ECサイトやアパレル業界など、多くのビジネスにとって、在庫管理は欠かせない重要な業務です。EC物流においては特に、発注ミスや在庫切れ、商品の誤発送などを回避して効率的な在庫管理を実現するためには「SKU」という考え方が欠かせません。
この記事では、SKUの意味や使い方、SKUの決め方などについて詳しく解説します。
SKUとは
SKU(エス・ケー・ユー)とはStock Keeping Unitの略称で、日本語では「最小識別単位」とも呼ばれ、在庫管理における最小の管理単位を表します。
「品番」と混同されがちですが、メーカーなどによって商品につけられる品番は、商品名のようにつけられ、その商品ごとのサイズなどの違いは含まれていないことがほとんどです。
SKUは商品をこれ以上は分類できないという単位まで細かく分類した状態でつけられるので、同じ商品名をもつ商品でもサイズや色ごとなどに異なり、業界を問わず採用されています。
あるTシャツに、以下のようなバリエーションがあったとします:
- 色:黒、白(2種)
- サイズ:XS、S、M、L、XL(5種)
商品としては同じTシャツですが、この場合は黒いTシャツのSサイズ、白いTシャツのMサイズといったように、区別として管理される必要があります。そのため、2種類のカラーバリエーションと5サイズで、10のSKUが存在することになります。
SKUとバーコード・JANコードの違い
SKUの役割
SKUは主に在庫管理で使われます。商品を管理したり特定する際、商品説明の代わりにSKUを利用すると、発注ミスや在庫の管理ミスによる在庫切れや誤商品の配送などといったトラブルを回避することができます。
特にアパレルの場合はサイズ間違いやカラーバリエーションの間違いを防ぐため、SKUでの管理は非常に重要です。
また、SKUごとに売り上げを分析することで、どのバリエーションの商品がよく売れているかなど販売データの収集ができるため、デッドストックを回避することができます。
SKUの決め方・設定方法
SKUの決め方には決まりがないため、自社で管理しやすいルールを決められます。
1. SKUで管理したい要素を決める
SKUは「商品を区別するための情報」を含めるべきです。多くの企業では以下のような情報を組み合わせて使います。
商品カテゴリ(例:シャツ、シューズなど)
- 色
- サイズ
- 性別(必要に応じて)
- 型番やシリーズ
- シーズンや年(場合によって)
例:赤色のMサイズのTシャツ → TSH-RED-M
2. SKUコードの構造を統一する
SKUは「一貫性」が最も重要です。同じ構造で全商品に適用することで、管理や検索が容易になります。
例:SKUの構成ルール
[カテゴリ]-[型番/商品コード]-[色]-[サイズ]
TSHIRT-001-BLK-M
│ │ │ └ サイズ:M
│ │ └ 色:ブラック
│ └ 商品コード:001
└ カテゴリ:Tシャツ
3. 記号や文字の使い方のルールを決める
- 略語:長い単語は短縮して3文字程度にする(例:Black → BLK、Large → L)
- 英数字のみに統一(特殊記号や日本語は避ける)
- 大文字・小文字の一貫性(通常は大文字推奨)
4. 人にも読みやすくする
文字列が多いと読みにくいので、区切りに「ハイフン -」や「アンダースコア _」を使うと読みやすくなります。
文字数が多すぎると管理しづらいので、なるべく10〜15文字程度に収めるといいでしょう。
追加でSKUを設定したほうがいい場合
上記の場合と併せて、以下の様な場合もSKUを区別するといいでしょう。
- 商品のパッケージが異なる
- 商品の料金が異なる
- 商品のセット販売を行う
商品のパッケージが異なる
期間限定などで大幅にパッケージを変える際は、パッケージごとに異なるSKUを設定する必要があります。
例えば人気キャラクターとのコラボ商品などの場合、パッケージが目当てで購入する顧客もいるため区別して管理し、違うデザインを誤発送しないよう注意しましょう。
商品の料金が異なる
セール品やポイント還元キャンペーンなど、同じ商品でも料金が異なる場合は価格ごとに異なるSKUの設定が必要です。
一時的なセールやキャンペーンで料金を下げる場合、SKUを元々の値段と別に設定することで、通常価格の商品がいくつ売れたか、セールやキャンペーンでいくつ売れたかといった売上管理も可能になります。
商品のセット販売を行う
コスメのセット品など、これまで単品で売っていた商品を他の商品とセット販売する場合は、単品とセット販売とで異なるSKUの設定が必要です。これによって、同じSKUで管理したために、顧客に異なる商品が届いてしまうなどの間違いを回避できます。
SKUの例:実際のつけ方
アパレルストアの例
アパレルストアで取り扱う商品にはブランドやカラー、サイズ、スタイルなどがあり、これらは明確に区別する必要があります。
例えば、あるブランド(管理番号を115としている場合)の青いカラー、MサイズのTシャツのSKU例は以下のようになります。
※なお、これはあくまで一例で、各数字や文字が何を表しているかは企業や業界によって異なります。
SKU:115-BLU-M-TSHIRT
- ブランドコード:115
- カラーコード:BLU (青)
- サイズコード:M (Mサイズ)
- スタイルコード:TSHIRT
文具ストアの例
文具ストアでペンを販売する場合に、メーカーやペンのタイプ(油性・水性など)、インクのカラー、ペン先の太さなどによって分類するとします。
例えばメーカー番号231の黒い油性ペン、ペン先の太さが2.5 mmの場合のSKU例は以下のようになります。
SKU:231-OILPEN-BLK-2.5MM
- メーカーコード:231
- 商品タイプコード:OILPEN(油性ペン)
- インクカラーコード:BLK(ブラック)
- ペン先太さコード:2.5MM
SKUについてよくある質問
品番とSKUの違いは?
「品番」は、商品を識別するために製造業者が商品に付ける番号で、商品の種類やシリーズ、生産時期、仕様などを表す一方、「SKU」は小売業者が商品を識別するために使用するコードで、色やサイズなど、商品をより詳細に分類した管理番号です。SKUは在庫の管理、販売、注文処理などに使用されます。
SKUは何の略?
SKU(エス・ケー・ユー)は「Stock Keeping Unit」という英語の略称で、在庫管理における最小の管理単位を表す用語です。
SKUは日本語でいうと何?
SKUは、「在庫管理番号」や「商品管理番号」、「在庫管理コード」などと訳されることがあります。ただし、一般的には、「SKU」という略語自体が広く使われているため、そのまま「SKU」と呼ばれることが多いです。